お知らせ
パルマワラビーのプラリネが死亡しました
3月29日に、パルマワラビーのプラリネが死亡しました。
死因は、カンガルー病からくる敗血症でした。
ご報告が遅くなり、申し訳ございません。
以下に治療の経過や、生前のプラリネの様子をまとめました。
プラリネは、3月8日に11歳を迎えたばかりの、おばあちゃんワラビーでした。
わたしが、担当になったばかりのプラリネの性格は、
臆病ながらも興味津々な様子で、こちらを遠くから覗き込んできてくる、、、
と思ったらいつの間にかすごく近くにいたりする、、そんなマイペースな性格でした。
一緒に暮らしていた娘のトルテとの関係も良好で、同じ場所でよく過ごしておりましたが、
トルテがべたべたしてくるのがうっとうしいのか、前足でぐいっと顔を押しのけるお茶目な一面もありました。
亡くなる直前は、飼育員にとても慣れて、ごはんの時間になると飼育員を待ち構えて、
獣舎に入ると、ゼロ距離まで詰めてくるほどでした。
プラリネは、2020年ころに目元の腫れ、膿、食欲の低下が確認され、口内を確認したところ、口内が化膿している状態でした。
この状態は、カンガルー病と呼ばれ、カンガルーの仲間に見られる病気で、細菌が傷ついた歯茎から進入し顎の骨が化膿して腫れる病気です。
症状が悪化した場合、全身に感染が広がってしまいます。
口内の化膿発見後に、化膿している歯の抜歯を行い、抗生物質での治療を行い、一度腫れが収まりました。
しかし半年後に再発し、再び口内の確認や、投薬などの治療を行いました。
2021年からは、症状は落ち着き、餌もしっかり食べられるところまで回復しました。
2022年の3月ころから以前のようにぴょんぴょんと跳んで移動する、元気な様子が見られなくなってきました。
餌の食べや、飼育員への反応はよく、元気消失は高齢であることも原因かと思い、餌の見直しなども行いましたが、
3月29日に、展示場の屋外で倒れている様子を確認し、寝室に移動させ処置を行おうとしましたが、死亡しました。
当園では、このプラリネの病気の発症をきっかけに、
動物にストレスなく治療を行うための、ハズバンダリートレーニングの導入が始まりました。
カンガルー病は、口内の腫れなどの要因で、食べることが困難になり、痩せて死んでしまうことも多いそうです。
ですので、日々の体重の変化を知ることが、健康状態を知るために重要になります。
当園では、ワラビーの体重は捕獲して計測するやりかたしかできず、体重測定のたびにプラリネにストレスを与えている状態でした。
その状況を改善するために、動物に治療や処置を手伝ってもらうハズバンダリートレーニングを導入し、
体重を測る練習を始めました。
ワラビーの担当になったばかりの時は、私から近づこうとすると、反対の端まで逃げていたプラリネに、
まずは慣れてもらうトレーニングから開始したところ、少しづつ近づいてくれるようになりました。
それで、毎日顔が腫れていないか、近くで確認できるようになりました。
そして、手からごはんを受け取ってくれるようになり、
薬を飲ませるときなどに捕獲する必要がなくなり、確実に適正な量を飲ませることができるようになりました。
その後も、さまざまな方にアドバイスをいただきながらトレーニングを続け、
プラリネから体重計に乗ってもらい、体重を計れるようになりました。
今も、トレーニングの時間になると、
飼育員の通用口の前でスタンバイしていたプラリネのことを思い出します。
まだ、ほかのワラビーのハズバンダリートレーニングを用いた体重測定はできていないので、
少しずつトレーニングを始め、動物たちの治療のストレスを減らせるようにしていこうと考えております。
今までプラリネを見守ってくださり、ありがとうございました。
担当飼育員